渡り鳥ラインとベルト海峡 I
※鉄道の話です
Kønhavnに行く時に利用していた,通称”渡り鳥ライン”.そして帰りに利用していた,ベルト海峡を渡る,”ユトランド半島周り”,ハンブルクーコペンハーゲン間を結ぶ,2つの鉄道ルートのまとめをしておきたいので,鉄分な投稿です.
ちなみに,帰国後にも,一度ドイツから,渡り鳥ライン,そして,日本からオーデンセも行ったりしているので,未来の写真がちらほらです...
前半は,HambrugからKøbenhavnへ,フェリー航送のあるこのルートから.
渡り鳥ライン
渡り鳥のルートと同じため名づけられたルート.
ハンブルクーコペンハーゲン間をフェーマルン・ベルトを渡ることでショートカットするので,ユトランド半島周りのベルト海峡,グレートベルトリンクを通過するルートよりも,160kmほど距離が短くなります.
Hamburg - Lübeck - Puttgarden - -(Fehmarnbelt)- - Rødby Færge- Nykøbing F - Vordingborg - Næstved - Roskilde - København
1963年から運行されているルートで,運行開始まで構想から100年ほどかかったそうです.
完成以前は,遠回りなロストック(ヴァーネミュンデ)経由.1951年には,東ドイツになったヴァーデミュンネだと,西側のデンマークとしては少々不便ということで,西ドイツ側だった,リューベック,Großenbrodeからフェリーで接続し, フェーマルン島への橋が完成した1963年からは,この短距離でハンブルク=コペンハーゲンを結ぶことのできる,現在のルートで運行されています.
現在 (2016年),貨物と夜行はこのルートではなく,全てユトランド半島周りです.
特徴は,何と言ってもPuttgarden-Rødby間の車両航送.観光路線としても人気?なんだとか.まぁ,フェリーはアトラクションって感じになってます.
そして,いくつもの島を橋で渡っていくのも特徴で,リューベックの先,Puttgardenは,フェーマルン島.Rødbyはデンマークのロラン島,Nykøbingはファルスター島,最後にVordingborg ,シェラン島に渡りKønhavnに至ります.
デンマークの首都,コペンハーゲン(København),実はユーラシア大陸ではなく,島(シェラン島)にある首都だったりします.
車両
運行している車両は二種類,まずはデンマーク,DSBの方から
IC3
デンマークのInter-city用の気動車です.(3両編成のintercity tog = IC3)デンマークは非電化区間が多く,電化区間の列車でもよく見るので,そこら中で走っているDSBの顔?です.番号が5000番台ならIC3です.
気動車なので,煙もくもくでます.180km/h出せるってのがすごい.
中に入ると,まずは,こんな感じ? 行き先,よく間違ってます...これもコペンハーゲン行きなのにハンブルク行き?になってる.
1991年から営業運転しているので,意外と古い車両です.トイレの電子式の鍵....全然閉まらなかったりします.古さを感じさせる部分が少々あるけど.座席は大きくて座りやすいし,内装も結構いい感じです.(JR北海道はDSBと提携しているので,特急列車はこのIC3のインテリアを参考にしているとか)
ちなみに,写真は一等車ですが,二等車も同じような雰囲気です.ただ,二人席もあるけど,四人席が多いので,ひとり旅だと浮きます.
初めて乗った時,リューベックの時点でめちゃくちゃ混んでいて,デンマークのおじさん,そしてハンブルク旅行に来た,親子二人組に囲まれたのはいい思い出です.
一等車は2人席,2+1人の3人席もあるので,ひとり旅の方はそこを狙ってください.
ただ,ハンブルク発やリューベック発で,DBから切符を予約すると,席は確保できるけど.座席表から位置を指定できません.
DSBから予約すれば座席表から指定できます.まぁ,よく表示がバグっていたり,とった車両なかったりがよくあるので,混んでいる時以外は,指定しても意味なかったです.
2-3編成連結して運転していることが多く,電車バージョンのIR4とくっついていることも多いです.(渡り鳥ラインはIC32編成,最大6両で運行です)
ちなみに,連結部分は運転台で,連結していると,完全に通路,
切り離し前に,運転台を畳んでいたので,面白い構造になっています.
デンマーク国内,Intercity 一等車では,セルフのドリンク,お菓子,新聞のサービスがあります.コーヒーはスタバのインスタントコーヒーで,コーヒー以外にも紅茶やミネラルウォーターもあるので,みんな持って行って飲みまくっていました.
ドイツ国内だと,新聞だけ置いてあります.
自分はリューベックからしか乗らなかったけど...ハンブルク発の列車なので,ハンブルク中央駅でもIC3を見かけます.ハンブルクからは,ユトランド半島のÅrhusや,Ålborg 行きのIC3のECもあるので,結構見ることができると思います.
続いてはあの有名な”迷車”を紹介です.
ICE TD
非電化区間もICEで高速化,ということで開発されたICE Tの気動車バージョン.
以下,ベースのICE Tです.
わかりにくいけど,たまたま両方写っていました,左の屋根が汚れているのがICE TD,右がICE Tです.
渡り鳥ラインでも"ICE"の列車として運転されています. 乗ってみたかったので,ちゃんと狙って乗りました.ICEは多客期だと,朝と夜だけだったかな...
残りはECとして,6両で運転できるIC3が運用されていました.調べると,ICEの方が多い時期もあったようです.
で,性能としては最高速度200km/h出せる,一応ドイツで最速の気動車(電気式)です. ベースのICE T自体が曲線の多い区間の高速化が目的だったので,車体傾斜装置がついています.
が,ICE TDと相性が最悪だったらしく,不具合が多発,3年ほど運用されていなかった時期もあるそうです.
その後,2007年からはDBからDSBにリースされ,この渡り鳥ライン,そしてユトランド半島へのEC,ベルリンーデンマーク間の列車として運用されて...
と,ようやく安住できるのかと思いきや,2016年にリース期間が終わり,DSBもDBも”修理がめんどい”ということで,ほぼ運用されていません.(2017年10月運用終了)
一編成のみドイツに送り返された後に,試験車両として残されているようです.
DSBへの”リース”ということで,DSBマークが貼ってあるICEです.
車内も,一等車はDSB1’でした.
あとは他のICEと同じです.まぁ車内は1月のあの写真しか撮っていません. 座席に画面もついてるけど,もちろん映らず...
さらに”Bordbistro"は繋がっていますが,自分が乗った時は営業しておらずで,車両の外側も汚れが目立ち,ところどことやる気がないというか...運用末期感がありました.
ちょっとだけ動画で.電気式気動車なので,エンジン音も電車の音も聞こえます.
また,DSBカラーのICE TDもあったそうです.
余談として,DSBはIC3の後継,IC4でもトラブル連発で,このICE TDといい,ハズレをを引いているというか...それ以上にIC3が万能?名車すぎて,古くなってきていても,なかなか置き換えることはできず?というかICE TDの運用がIC3に置き換えられている始末です.
そして,1時間くらいしか乗らないけど.おそらくこのルートの主役?
フェリー
ドイツ,リューベック北部のフェーマルン島,Puttgardenとデンマーク,ロラン島のRødbyを結ぶ,車両航送できるフェリーです.かつての青函連絡船,宇高連絡船と同様に,車両航送します.近年は減るつつあると思うので,ちょっと珍しいかな.
鉄道車両はもちろん,トラックなども,同じ車両甲板にたくさん乗り込んできます.
日本では,自動車,鉄道車両は別の甲板に載せていたそうですが,ヨーロッパでは,鉄道,自動車ともに同じ甲板に乗せることが多いそうです.
鉄道車両はIC3かICE TDで,IC3の2編成,6両が最大で航送できる長さです.
ちなみに,IC3が6両の時は車両甲板いっぱいに止まりますが,IC3が3両の時,もしくはICE TDだと4両編成で,余裕があります.
最前部に合わせて停車するので.最後尾に行くと先頭車を見れます.鉄道ファンにはたまらない?
ちなみに,Puttgardenを出て,フェリーに車両ごと乗り込んだあとは,列車を降りるように言われ,階段やエレベーターで上方階,フェリーの客室の方に向かいます.
客室には,レストランや,ちょっとした軽食のフードコート,そして”国際航路”ということで,免税店なんかもあり,デンマークは税金が高いので,TUBORGケース買い?なんて光景も見ることができます.混んでいた8月の時は,列車の荷物棚がビールだらけになっていました.
甲板にも上ることができます.
冬は...寒いです.
えー,夜も乗ったことがあるけど..暗くて何も見えません.
ちなみに,船内ではユーロ,デンマーククローネ,双方の通貨を使うことができる,というかデンマークはキャッシュレス推進派,どこでもカードで支払い可能なので,おそらく,困ることはないです.
あと,言語も,英語もドイツ語,デンマーク語も大丈夫なはずです.ぜひデンマーク語?をチャレンジしてみてください.
せっかくなので,カリーヴルストでも食べて,フェリーを楽しみましょう.
次は,沿線の風景です.
デンマークに入国すると安心するのかあまり撮っていなくて,デンマーク側は2018年の写真が多いかな...
まずは出発地点の
Hamburg Hbf
自分は...キールからの旅なので,ハンブルクからは乗ったことないけど.始発はHamburg Hbfです.長距離列車は,Hamburg Altona発着が多いですが,渡り鳥ラインはHbf,中央駅始発です.2時間間隔でKøbenhavn行き,ECもしくはICEが発着しています.
ちなみに,Hamburg Hbfはドイツ中の長距離列車が集結する駅なので,ICE/ICがひっきりなしに発着していて,ドイツ第2位の都市ということもあってか,ドイツで一番利用客の多い駅です.また,ヨーロッパにありがちな頭端式ホームではなく,中間駅になってます.
他のICEはICE TやICE1の10両を超える長い編成に比べて,ICE TDは4両編成....短さがよくわかります.
以前はベルリン始発,ICE TD2編成,HamburgでKøbenhavnとÅrhus行きに分割という多層建て列車もあったみたいで...今よりも確実にICE TDのやる気を感じます.(Vagon Webで確認)続いては,マジパンの街です.
Lübeck Hbf
ドイツ側から乗るなら,ハンブルク,リューベックどちらかの駅にになると思いますが...自分はこの駅から4回乗りました,キールからだといつものRE,RBに乗ってくるので飽きちゃいます.
途中下車をする方はいるのでしょうか? 一応,駅にもニーダーエッガのショップがあるので,是非,マジパンを買ってってください.
Københavnの"Ø"はoeと表示されます.Koebenhavnです.
時間のある方は...ホルステン門,そしてニーダーエッガーでケーキ,マジパンを買って行ってください.駅から徒歩15分?くらいです.
リューベックから次の駅,Bad Schwartauまではキールへの線路と同じ線路を走り,そこから先は単線,もちろん非電化ということで,気動車のIC3と,ICE TDが必要というわけで...
そんなに,スピードも出せないので,両者とも,性能をもてあまし気味でした.
貨物列車との行き違いなどで,信号場で停車したり,運行速度は100km/h行かないこもが多いので,体感めちゃくちゃ時間かかります...
写真はないけど.途中,ハンザパークという遊園地が線路沿いにあります.なんだかんだ人気らしい?テーマパークです.楽しそう.
で,Oldenburgという駅に停車した後,Fehmarnsund橋を渡り,フェーマルン島に上陸です.
リューベックから1時間ほど...ドイツ側の港,
Puttgarden
に到着です.
うーん,国境ということもあって,巡回しにきた警察の方々に見つかって,ここで降ろされちゃう...っていう人も見かけたので,シェンゲン協定があったとしても,国境は健在なんだなって思います.
RBからもフェリーに乗り継げますが...本数少ないです.
ムービーであります.
とりあえず,前回と同じ,1月のもの.
と,夜に乗った時,ICE TDでフェリーへ...停止位置もICE TDとIC3で別のようです.
列車は施錠されるので,大きな荷物は列車において,車両用甲板に降ります.
しばらく経つと,Puttgarden港,出港です.(写真は,夜)
フェーマルン島を離れ,海峡を進んでいきます.途中で,デンマークの電波が入るようになります.
途中で,Rødbyhavnからのフェリーとすれ違います.
1時間ちょっとの船旅です.揺れも少なくて,結構みんな楽しそうにしてました.
あとは,さっきでてきた,カリーヴルストでも食べて待機.
味は...正直そこまで美味しくないんだけど,せっかくレア?なルートに乗っているし,いつもちょうどお昼時?夕食時ということもあって,毎回食べてました.
Rødbyhavnに近づくと「あと少しで接岸なので,列車に戻ってください.駅ではパスポートチェックがあるので準備を」と,放送が入るので,車両甲板に戻ります.
もう実家のような,乗り慣れた?列車の方に戻りましょう.
しばらくして,トラックなどとともに,フェリーから外へ.
デンマークのRødby港,ロラン島に上陸です.
フェリーを出るとすぐにRødby Færge駅,駅といっても仮設ホームのようなものがあるだけで,この駅で入国審査官?と警察な方々が待機,列車に乗り込んでパスポートチェックを受けます.
「パスポートチェック?ヤバい捕まる!」って初めは思ったけど,そんな詳しく見られるわけじゃないので,日本の方は,余程のことがなければ「ああ,日本人ね」みたいな顔されて,中を見られず終わることもあると思います.よかった,捕まらなくて...
ちなみに...色々聞かれている人も中にはいたので...多分ドイツに追い返される人もいるんだろうなぁ.というか,この先の駅で追い返されている人,いました.
ここから先,列車は,また非電化単線区間をゆっくり進んでいき,
ちょっとした橋を渡ると,次の島,Nykøbing,ファルスター島上陸です.
ここで,IC3からICE TDに乗り換えたりしました.また,以前はICE TDがもう1編成増結し,8両編成でKøbenhavnへ走っていたようで,やっぱり今とやる気が全然違います...
この駅までのREもKøbenhavn Hからちょくちょく出ています.
ファルスター島もすぐ終わり,今度は長い橋,Storstrøm Bridgeを渡り,Københavnのあるシェラン島へと渡ります.長さは3キロほどあります.
この橋も,鉄道道路併用橋で,自動車と並走します.鉄道部分は単線だけど,列車の方が早いので,車をどんどん抜いていくので,面白いです.
で,この橋,写真から見てわかるように,結構古い(1937年開通)ので,架け替えが検討されているみたいで,噂によると,鉄道も複線化されるとか.
橋を渡ると,Masnedøという小さな島につきますが,すぐに,シェラン島へと渡り,Vordingborgへ,ついにここから複線になります.
Vordingborgから次のNæstvedまでも20分ほどです.景色...ほとんど変わりません.
Næstved駅,ちょっと都会っぽい雰囲気が出てきます.Københavnまではあと1時間です.
Næstvedを出発して,しばらくすると,Ringsted駅の手前で,オーデンセーコペンハーゲンを結ぶ幹線と合流,ここから電化区間で,さらに,最高速度も上がり,ようやく性能を出せるようになります.
そして,ようやく
Roskilde
に到着です.
デンマーク王室に興味のある方は,ロスキレ大聖堂へ,ヴァイキング博物館もあります.
ここから先も軽快に飛ばして,Københavnの一つ前に,Høje Taastrupに停車します.この駅はほとんどの長距離列車が停車するのと,S Togの起点ともなる駅です.ちなみに,この駅の近くに,DSBの本社があります.
ここから15分ほどで,Københavnです.
駅に近づくと,大きな留置線が見えてきます.
駅,市庁舎,チボリ,ラディソンブル...コペンハーゲンのランドマークが次第に見えてきて,大きなカーブを曲がります.
ゆっくりホームに入っていきます.
前回と同じムービーです.乗っているのはICE TD
Hamburgを出発して,約5時間.. ようやく.
København H
に到着です.
途中のフェリーや,デンマーク入国,そして,なかなか速度の出せない路線...ということもあって,ICEで南ドイツに下って行く旅行よりも,長旅に感じると思います.
いろんな路線,列車乗りましたが,個人的に一番印象に残っている路線です.
夜に着いたときも...なかなか緊張感ありました.
駅の前には,遊園地のチボリ公園があります.
遊園地,というより名前の通り,緑の多い,アトラクションもある公園という感じで,お店も多いので,入場するだけでも楽しめます.
そして,チボリの先に進むと,コペンハーゲン市庁舎が見えてきます.
ここに.アンデルセンさんの銅像もあります.
あとは,買い物スポットスのトロイエと,
コペンハーゲンといえばこの場所?なニューハウンなど.
コペンハーゲンはお城や美術館も多く,何日いても足りないので.観光案内はほどほどにして,前半はこのくらいで終わりかな...
後半はいつもの帰りのルート?ユトランド半島を回っていくルート.そして,ちょっとだけオーデンセ?も.
最後に,この”渡り鳥ライン",ドイツーデンマーク間のフェーマルン海峡にトンネルを建設することが決まっていて,各所の複線化,デンマーク内での200 km/h対応工事などもあり,2019年12年,56年運行されたこのルートは休止,Hamburg-Københavnはユトランド半島ーベルト海峡経由,乗り換えなしでの運行に変わっているそうです.
トンネルが完成したら,トンネル経由で復活するのかなぁ....
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